「なるほどねぇ、お前も大変そうだな、迷惑人」
それが、俺のことを話した後の殺人犯、斗那戎の一言であった。
……まったく驚いていない。
まったくもって俺の持っていたイメージとそっくりであった。
「だが、そんなもん俺には関係ねぇ。大体俺はハナっから殺人犯だ」
最もな意見だ。
俺と関わった人間が人殺しになるなら、こいつの場合はまったく変わらない。
「……ってことは、お前は殺される側かもな」
「はっ。それこそありえねぇよ」
……随分と自信過剰なお方らしい。
場所は隠れ家。…………のはずなのだが、どうみても普通のアパートであった。
どうせなら俺の家に来るか?と言ってみたところ、「ここには愛着があるんでね」という一言で却下された。
とりあえず、今日から俺の新生活がスタートする。……殺人犯との同居、なのだが。
この生活が1週間程度で終わらないように祈ることが、今の俺ができることである。
1.殺人一家
あの馬鹿の脳味噌がどこまで腐っているかは知らないが、なんとアパート中の住民を部屋へ招き、いつの間に
か俺の歓迎パーティーが開かれることになっていた。
「お前、俺の話聞いてたのか?」
「うん?……ああ、安心しろ。あの人たちはお前の呪い如きにやられる雑魚じゃない」
まぁ………そこまで自信満々に言われればなんとも言えないが。
もうどうなっても知らんぞ。
その瞬間、部屋の扉が開いたかと思うと……
「はーい!一家のアイドル、森山由乃(モリヤマ・ユノ)ちゃん登場!」
「…………」
「…………」
……この雰囲気、どうにかしてくれ。
ていうか、突然現れてそれはなんだ。
「まぁ、こういう奴なんだよ。こいつは」
「成程」
「そこ!納得するなー!」
なんとも的外れなキャラが出てきたので多少驚いたが……。
まぁ、アパートなんだしこれくらい騒がしい高校生くらいいてもおかしくないよな。
「それにしても……<<一家>>ってなんだ?」
「え?なーに、まだ話してなかったの?戎タン」
「その呼び名止めろ……」
「お前は弄られキャラだったのか。戎タン」
「違う!お前もその名で呼ぶな!」
さて、ボケはそこら辺にしておいて……。
「まぁ、一言で言えば、このアパートに住んでるのは全員<<殺人犯>>ってわけだな」
信じられない新事実。
俺は殺人一家に居候することになったらしい。
「まぁ無暗に人を殺しまくるってわけでもないんだが」
「やだなぁ、戎タン。それじゃあ<<殺人犯>>じゃなくて<<殺人鬼>>だよ!」
物騒な話はあまりしないでほしい。
すかさず斗那が「戎タンじゃねぇ」とツッコミをいれたのは言うまでもない。
「むぅ、さっきから気になってるんだけど……」
森山が、俺のことをジロジロと見てくる。一言言わせてもらうと近づきすぎだ。
「千っち。格好いいね」
「…………」
「…………」
この雰囲気を作ったのは誰だ。
「……って冗談冗談!ビビった?ビビったよね?」
ビビるというよりむしろ戦慄した。
そういう根も葉もない冗談はやめてほしい。
「お前は黙ってろ」
斗那が一瞥すると、
「戎タン、妬いてる?」
テポドンが斗那を直撃したかのようにずっこけた。
この良いタイミングで、新たな登場人物が現れる。
「やぁやぁ。皆、今夜はサタデーナイトフィーバーだ」
またもやノックなしで部屋に入ってきたのは背が高く、見たところ俺より数年上の御姉さんタイプの女性。そ
の女性は酒瓶を片手に部屋に入ってきた。
ちなみに訊いてみれば森山と斗那は俺と同年齢の16歳であった。
「古いですね」
誰もツッコまないので俺がツッコミを入れてやると、
「若造。ツッコミのスピードが足りん」
ツッコミに対しツッコまれた。
「……この人は小浜笠名(コハマ・カサナ)さん。この殺人一家の長女。ちなみに俺は長男。この馬鹿は次女っ
てことになってる」
「馬鹿って言う人が馬鹿なんです!」
その言葉、久しぶりに聞いた。
「ちなみにこの馬鹿げた<<殺人一家計画>>は、父親役の岡崎邸(オカザキ・ヤシキ)が決めたことだ」
「ふーん。……その人も、ここに来るのか?」
そんな馬鹿みたいな人、俺的には来てほしくないのだが。
「さぁな……最近見かけねぇし。来ねぇんじゃねぇの?」
家族の大黒柱は一体なにをしているんだ。
……殺人…か?
「まぁ、これ以上変人は来てほしくないな」
「お前も充分変人なんだけどな、自殺未遂にして<<迷惑人>>の鬼崎千よぉ」
「」
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